司法改革は市民に身近な司法(裁判所)を目指したものである。司法制度改革審議会は法曹一元化、法曹人口の増員、法科大学院の設置、裁判員制度の導入を主な審議内容としている。しかし、このような内容では、行政・政治改革と同様に、訴訟形態、法曹三者の関係という司法内部の組織や意識を改めたにすぎない結果に終わるおそれがある。

 私は高校一年生の時、法曹実務に興味を持ち、「弁護士さんがやさしく教える民法とはこんな法律」という本を購入した。その本を読んで初めて、売買契約は口約束だけで成立すること、根保証の怖さを知ったのである。私が義務教育の中で教わったのは、親が亡くなった時、誰がどの割合で財産を相続するかという程度であった。

 市民にとって司法が身近になるよりもまず、法律が身近になる必要がある。法律は知っている人にとって優れた道具になるが、知らない人にとっては鋭い凶器となるものであり、法律実務家・専門家だけが知っていればよいというものではないのに、法律を学ぶ機会は少ない。そこで私は、中学や高校で、行政書士、弁護士、司法書士などにより、日常生活で役立つ法律の授業や裁判傍聴を、選択または課外授業として取り入れること、市の中心商店街の空き店舗や公民館などを利用して、成人への法教育のために各種の勉強会を開くことを提案する。
 
 現在、利子の計算、利息制限法の利息上限を知らずにお金を借りて、自己破産する人が多くいる。もしこれらの人が法律の知識をもって契約内容を読んでいたならば、問題の発生を未然に防ぐことができたはずである。

 市民が法律を学び、法律が市民にとって身近にならない限り、司法内部の改革がなされても、司法が身近になることはない。

司法制度改革私案