執行制度の拡充

権利の確実な実現のために

 貸したお金を返してもらえないとして、民事裁判を起こし、勝利した場合に、裁判の結果に従って借りている人が任意に返済すればよいが、裁判が確定しても返済をしてくれないとき、どうすればよいか?
 判決に基づき、強制執行をすることになります。強制執行とは、先ほどの例でいうと、借り手の持っている財産を強制的に取り上げて、財産を処分して(お金にかえて)、国の力を借りて強制的に返してもらう制度です。強制執行に関しては、民法や民事執行法等で規定されており、法律の定める手続きにしたがって行われます。強制執行がスムーズに確実に行われることによって、権利の実現が簡単になり、ひいては不良債権の処理が促進されます。


  紛争→(保全処分)→民事裁判→判決・和解等→確定民事執行
                                ↓
                            任意の支払い等



 問題点@占有屋等による執行妨害
         * 占有屋とは、執行を受ける財産に居座り、不当に利益を得る者です。
       A債務者による財産隠し
       B子の養育費等の定期の支払いに関して権利実件が困難


 解決策
 「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法の一部を改正する法律案」
 主なものは次のとおりです。

  @ 執行妨害対策
    ・ 保全処分の発令要件の緩和
       占有者の特定が困難な場合にも保全命令が発令できる、など
        * 保全処分とは、裁判から執行までの間に、債務者が執行を受ける
           財産を処分しないようにして、執行を確実にする制度です。

          保全処分については民事保全法が規定しています。
    ・ 執行妨害への刑罰強化
    ・ 短期賃貸借制度の廃止
  A 債務者の財産隠しへの対策
    ・ 債務者に財産開示を命ずる制度の創設
  B 少額定期給付の履行を確保する方策